ハナちゃんシリーズ

大型犬の躾に警察犬訓練所に預けるのは必要?

大型犬の躾に警察犬訓練所に預けるのは必要?
 
私の父が、生後1週間のコリーをブリーダーから買ってきてくれました。
 
高校生の時です。名前を家族みんなで話し合って「ハナちゃん」と名付けました。
 
今回の記事は、大型犬を飼う際に警察犬訓練所に預ける必要性について、実体験を元にお話しします。
■大型犬の「ハナちゃん」が3歳の時に躾のために警察犬訓練所に預けた
本を読みながらトイレの躾も「お手」「お座り」「伏せ」「待て」もしっかりして、愛情いっぱいに育てました。
みなさんご存じですか?生後1年未満のコリーは、普通の犬とかわらず鼻がぺっちゃんこなんですよ。成長とともにコリーらしい鼻の長い顔になっていきます。
3歳の時のコリーの鼻はまだ中途半端な長さで変な感じです。
私とは違った意味で、両親には別の心配ごとがありました。
近所にはたくさんの犬がいます。お散歩の時にすれ違うことも多々あります。
今は、小さいのでリードをしっかり持っていることで制御がききますが、このまま成犬になって、散歩の時に制御不能になったら大変だという心配でした。
しかも、散歩は私の係です。
そこで両親は、どんなときも家族の言うことを守るよう、警察犬の訓練所に3ヶ月預けることになりました。
警察犬訓練所といっても、警察犬の訓練をするわけではなく、大型犬が絶対人間の言うことを聞くようになる徹底的な厳しい躾です。
ただし、3歳まで愛情いっぱいに育てたという条件付の訓練です。
初めは犬に里心がつくと、教育しづらいと言うことで、面会は1ヶ月に1度だけでした。
3ヶ月で、ハナちゃんは、立派に躾けられて優秀な犬になりましたが・・・
 
 
■訓練1ヶ月目の面会日顔つきの変わったハナちゃんを見て連れて帰りたくなった
ハナちゃんを訓練所に預けてから、初めての面会日。
家族揃っていそいそと出かけて行きました。
訓練所について、ハナちゃんに会わせてもらいました。
ハナちゃんは、私たちを見ると猛ダッシュでかけよってきました。
ところが、ハナちゃんの表情が別人(別犬)のように何とも冷たい感じになっていました。
飛びつくこともなく、頭をナデナデしてもらうために顔を押しつけてくることもありません。
私が学校から帰ってきたときのハナちゃんとの儀式は、飛びかかってくるハナちゃんの前足を私が捕まえて、ハナちゃんは後ろ足だけで立ってダンスをするのです。
しかし、ハナちゃんはダンスなんてしません。
私たちの前に来るとお行儀良くお座りしているのです。
訓練士さんを見て、訓練士さんが「良し」と言うと、何時ものように頭と喉をナデナデしてもらうために、しゃがんでいた私の腕の中に飛び込んできました。
でも、何時ものようにダンスをおねだりして後ろ足で立つことも、目をつぶって寝転んで、お腹を見せることもありません。
お行儀良く伏せをしたままでした。
私をじっと見つめています。
「どうしたの?訓練辛いの?」と問いかけながら首回りを抱きつくように撫で回してあげると、はじめて目をつぶって「くぅん」となきました。
お行儀が良すぎるハナちゃんは、冷めた目をしていました。
私は、訓練士さんを見て「訓練厳しいんですか?」と尋ねました。
訓練士さんは黙っていました。
面会は10分で切り上げさせられました。
その後面会は禁止になりました。
一度しっかりと訓練すると、それは身体で覚えることだから、一生身につきます。
今里心をつけさせたら、言うことを聞かなくなります。よほどかわいがられて育てられたんでしょうね。お嬢さんにもう助けを求めています。
でも、住宅街なので、無駄吠えをしたり、散歩中に吠えたり、噛みついたりしては、飼えなくなってしまいますよ。無駄吠えの苦情や子どもに噛みついたことで、で殺処分された犬もいます。
訓練が終わってから思いっきりかわいがってあげて下さい。3歳までに十二分に愛情いっぱいに育っているようですから、表情もすぐに元に戻りますから」
訓練士さんから両親はこう言われたそうです。
両親もハナちゃんの表情が冷たくなったのが気になったそうですが、ハナちゃんのためを思って3ヶ月辛抱することにしたそうです。
私は、ハナちゃんと別れ際に、ハナちゃんのクビに思いっきり抱きついて、「がんばってね。もう少しの辛抱だよ」と言って別れました。
あのときのハナちゃんの悲しそうな顔は忘れられません。
「犬は、人間の言葉なんてわからない」と言う人もいますが、言葉はわからなくても表情で気持ちは通じる、言葉はちゃんと通じていると、私は思っています。
私は訓練士さんに
「厳しい訓練のストレスで病気になったりしませんか?」
と聞くと、
「コリー犬はもともと狩猟犬だから、訓練のストレスを解消できるだけ十分にケアしています。私は獣医でもあるから、安心してね」と言われました。
 
 
■3ヶ月の訓練をがんばったハナちゃんの冷たい顔つきは元に戻るのか?
訓練を終えたハナちゃんを迎えに行く日がやってきました。
朝一でお迎えに行きました。
ハナちゃんは、表情がなくなったかのような、甘えることをしない賢い犬になっていました。
私は、ただただ悲しくなりました。
私は毎日、「ハナちゃん笑って」と思いっきり抱きしめ、一緒に遊んで可愛がってあげました。
毎日訓練士さんに言われたとおりに訓練は続けましたが、訓練の時間以外、私は3ヶ月の寂しさを生めるようにハナちゃんにべったりでした。
ハナちゃんの犬小屋は3畳あります。大きな軒の下で塀に囲まれているので、台風が来ない限り雨風にサラされることもありません。
訓練から帰ってきて1週間後の夜中、雷が何度もなりました。
悲鳴のようにハナちゃんが吠え始めました。
父がハナちゃんを玄関に入れてあげました。
ハナちゃんは、玄関から廊下に上がってくることはありません。
雷の音に脅えていたハナちゃんも、犬小屋よりもずっと広い玄関の中に入れてあげたことで安心したのか、すぐに眠りにつきました。
翌朝、私がハナちゃんの所に行くと、何と昔のように、お腹を丸出しに仰向けに大の字になって眠っていました。訓練から帰ってきて初めてのことです。
近づくと普通は起きるのにハナちゃんは眠ったまま起きません。
左の前足が玄関の鴨居に乗っかっていました。
私は「ハナちゃん朝だよ」と言って前足を揺すってみましたが身動き一つしません。
驚いて「ハナちゃん」と大きな声で呼びながら、前足をめちゃくちゃに揺すぶりましたが、起きる気配もありません。
私は、ハナちゃんが死んでしまったのかと思って、母の所に飛んでいきました。
父もビックリして、ハナちゃんの所に家族全員ドタドタ駆け寄りました。
するとその音にやっと何とハナちゃんは寝ぼけた感じで「くぅーん」と反応し、寝っ転がったまま頭を起こしています。
「もうー死んだかと思ったじゃない」と首に抱きつくと、ハナちゃんは起き上がりました。
その時ハナちゃんの顔は、訓練に出す前の、優しい顔に戻っていました。
「女の子なのに寝相悪いな!ハナちゃんは飼い主に似たのかなぁ」なんて父が安心したように言いました。
でも、両親もハナちゃんの表情に安心したのか、頭をなでたり、背中をなでたり、家族中でハナちゃんをさすっていました。
 
 
■訓練所の厳しい訓練を忘れてしまったかのようなハナちゃんの予防接種姿
その日は、ハナちゃんの予防接種の日です。
「獣医さんに連れて行く=注射」なので、クリニックの前で既にハナちゃんは大暴れです。
それでも父に押さえつけ抱えられて、注射をする台に乗せられました。後は獣医さんに押さえつけられ、注射は難なく行われました。
ハナちゃんは、泣くわ、わめくは、大騒ぎでしたが、それは訓練前と全く一緒で、何だか私は安心しました。でも、両親は心配して、今朝の事情を話し、
「訓練の効果は、雷と共に消え去ってしまったのでしょうか?」
と質問しました。獣医さんの答えは、「安心しきったのでしょう。でも、訓練の効果がなくなったわけではありません。雷も恐いし、注射は痛いですから、これは犬の性格の問題ですよ。恐がりのこの性格は早々変わりません。」でした。それに加えて、
「厳しい顔つきは、緊張の表れです。よほど厳しかったのでしょう。でも、コリーが本気で人を噛みついて、大けがをさせたりしたら大変ですから、あまり甘やかせてはいけませんよ」
とも言われました。
 
 
■放し飼いはストレスになるって本当?
でも、ハナちゃんは穏やかな性格でしたので、近所の人気者です。庭に放し飼いにしていても門から手を伸ばした子ども達にも、噛みつくどころか、よく懐いています。
お米屋さんなんて、勝手に入ってきても、吠えもしません。ハナちゃんは番犬にならないみたいです。
放し飼いは犬にストレスを与えることもあると最近では言われています。
犬が「縄張り意識」で、安心して眠れなくなってしまうだけでなく、躾も入りにくいのだとか。
しかし、ハナちゃんは警察犬訓練所で顔つきが変わるほどの厳しい訓練を受けた後ですので、狩猟犬の本能のまま放し飼いにしても、自分を人間と思い、両親を親に、私をお姉さんだと思っています。絶対服従です。
散歩に連れて行っても、私がきつそうにしているだけで走るのを止めて歩行を合わせてくれます。6歳(成犬)になった頃は、自転車で散歩させるようになりました。
よその犬とすれ違いそうになると、自転車を止め「ハナちゃん止まれ」と念のために私は言います。ハナちゃんは走っていてもすぐに止まってお座りです。
よその犬が吠えても私がなでている限り無視しています。
そんな時、決まって近所の小さな子ども達が集まってきます。
ハナちゃんは、されるがままに、子ども達に触らせています。
父がハナちゃんを庭で放し飼いにしていますが、縄張り意識どころか、いつもやって来るお米屋さんやクロネコヤマトのお兄さんに懐いて、門を開けて入ってきても吠えもしなければ、逃げもしません。
父が庭で盆栽をいじったり、庭木の手入れをしているときは、父の周りをウロウロし、私が帰ってきたら、出迎えてダンスをします。
家の周りをぐるぐる走り回ったり、雑巾を持ってきて、何故かドヤ顔をしていたり、ハナちゃんは自由です。
何より、お腹丸出しで大の字に寝て、起こしても起きないなんて、獣医さんも認める「ストレス皆無状態」です。
確かに躾前の放し飼いは、犬に縄張り意識の緊張を与え、躾に耳を傾ける余裕をなくさせてしまうのでしょう。犬は、飼い主を守る忠実な動物ですから縄張りのボスと化し家屋を守る意識と緊張が優先し、しかもストレスになるほどのボス意識が何より優先していますので、飼い主の躾なんてできるはずがありません。
しかし、十分な愛情を与えるだけでなく、ちゃんとした躾をして、犬に「自分は家屋の一員」と思わせることは、信頼関係もしっかりと身につけさせるだけでなく、守ってもらえる信頼感を与えます。それが愛犬に安心感を伴った幸せを与えるのです。
 
 
■まとめ
しっかり躾の訓練をした後の放し飼いは、犬の習性を守ってあげていることにもなります。
叱ることもありますが、信頼関係が築かれていますので大丈夫です。
散歩の後の毎日の訓練で、ハナちゃんは、コリークラブで毎年優勝する名犬となりました。
審査員の方々に「ハンサムなキレイな犬」と外見からの評価も高いのですが、ハナちゃんは雌です。「美人」と言われないのがもどかしいです。左右対称の毛の色が美しいのだとか。
ハナちゃんは3代前からの血統書付のコリーですですし、ハナちゃんのお母さんは美人犬だったそうで、美人の血統を持っているはずなのに。
こんなに賢いハナちゃんは、普段は頭が良いのか悪いのかわからない甘えん坊です。
でも、本能も満たし、しかも自分は守られている人間の家族と思い込める幸せ感も十分に味わえている最高な状態なのでしょう。
そのせいか、大型犬なのに、ハナちゃんは15歳という寿命を全うして天国に行きました。
ペットの葬儀屋さんが、ハナちゃんを連れて行くときに、「こんな優しい顔の犬は見たことがない。可愛がられていたんでしょうね」と言ってくれました。
一人っ子の私は、妹として本当に可愛がりましたから。
 
 

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