ペット図鑑

ノーリッチテリア【Norwich Terrier】

ノーリッチテリア/図鑑

原産国 イギリス
体重 5kg~6kg
体高 25cm~26cm
グルーブ 3G

特徴

テリアの中でも最も小型なタイプの一つで、体高が低く、体は筋肉がよくついて引き締まっています。耳は立ち耳で、垂れ耳のノーフォークテリアとは耳を除いて犬種標準は同じです。被毛はダブルコートで、針金状の直毛は硬い手触りが特徴的です。

性格

大胆で勇敢、好奇心旺盛で行動力があります。飼い主や家族に対しては愛情深く接しますが、頑固でマイペースな一面もあります。また、警戒心が強く見知らぬ人や犬に吠えることもあります。

毛色

毛色は、レッド、ウィートン(小麦色)、ブラック&タン、グリズル(ブルーがかったグレー)が認められています。

育て方

とても活発で多くの運動量が必要です。毎日30分~1時間くらいの散歩とともに、定期的にドッグランなどで思う存分走らせてあげると良いでしょう。
頑固でマイペースなので、甘やかすと飼い主の指示を聞かなくなったり、問題行動を起こしてしまうことがあります。テリア種の特性をきちんと理解した上で、子犬の頃から信頼関係を築きながらしっかりと訓練する必要があります。
被毛の手入れは、週に2~3回ブラッシングを行ってください。プロのトリマーにお手入れをしてもらうのも良いでしょう。

気をつけたい病気

犬種特有の遺伝性疾患が比較的少ない犬種なので、大きく心配するような病気はありませんが、膝蓋骨脱臼、白内障、心臓病などには注意が必要です。また、テリア種は、皮膚疾患になりやすい傾向にあるので、定期的なシャンプーとブラッシングは必須です。

歴史

イングランド東部ノーフォーク州の州都ノーリッチ市で、小型で丈夫な狩猟犬としてノーリッチテリアが作られ、キツネ狩やねずみの駆除で活躍をしていました。垂れ耳と立ち耳の2つのタイプがいましたが、当時は両方ともノーリッチテリアと呼ばれていたそうです。1932年に原産国のイギリスで、1936年にはアメリカで、ノーリッチテリアの名前で登録されましたが、1964年イギリスのケンネルクラブで、立ち耳をノーリッチテリア、垂れ耳をノーフォークテリアと区別し、別々の犬種として登録されることになりました。現在は、猟犬や番犬だけでなく、家庭犬としても飼育されています。

ウェルシュコーギーカーディガン【Welsh Corgi Cardigan】

ウェルシュコーギーカーディガン/図鑑

原産国 イギリス
体重 11kg~17kg
体高 27cm~32cm
グルーブ 1G

特徴

体格はがっしりとしていて、胴長短足で一生懸命走る姿が愛らしい犬種です。被毛は中くらいの長さのダブルコートで硬い毛が密生しています。
大変よく似ているウェルシュコーギーペンブロークよりも古い犬種で、犬種標準は尾の形、耳の形、毛色を除いてほぼ同じです。カーディガンは、断尾をしないので長くキツネのようなフサフサとした尾で、直立した耳の先はとがっています。

性格

明るく活動的で遊びが大好き、飼い主にはとても忠実です。社交的な性格で他の犬や動物とも仲良くなれるので、小さい子供のいる家庭や多頭飼いでも安心して飼うことができます。ただし、牧羊犬としての気質を残しているため、他の犬や小動物を見たときに吠えたり追いかけ回したりしてしまうことがあるので、子犬の頃からしつけことが大切です。

毛色

毛色は、ペンブロークと違ってどのような色でも認められますが、白が優勢になるのは好ましくないとされています。また、コーギーの毛色は成長に伴い変化することがあるので、色にこだわる場合は注意が必要です。

育て方

活発で体力もあるので運動は欠かせません。毎日朝晩30分程度の散歩のほかに、ドッグランなどで思い切り走らせたり、ボール投げなどをして一緒に遊んだりすると良いでしょう。アジリティやフライングディスクなどドッグスポーツで活躍する犬もいるようです。
牧羊犬として活躍していたため、他の犬や小動物を見かけた時に吠えたり追いかけ回してしまうことがあります。無駄吠えしやすい犬種でもあるので、子犬の頃から飼い主の指示に従って行動できるようにしつけることが重要です。ほめられることが大好きなので、しつけはしやすい方です。
食欲旺盛なので肥満にならないように毎日の運動や食事に気を配ってあげてください。
ダブルコートで下毛が密集していますので、喚毛期には抜け毛があります。普段は週に1~2回のブラッシングで十分ですが、換毛期は毎日してあげると良いでしょう。

気をつけたい病気

胴長短足の犬種がかかりやすい椎間板ヘルニアのほかに、変性性脊髄症にもかかりやすいと言われています。変性性脊髄症は遺伝性疾患で、現状では病気の治療法が確立されていないため、事前の遺伝子検査が大切になります。ほかに尿路結石症、てんかん、進行性網膜萎縮症にも注意が必要です。

歴史

カーディガン種はペンブロークより歴史が古く、紀元前1200年頃に中央アジアのケルト人が、ヨーロッパを経由してイギリスにわたった時に連れてきた犬とされています。ウェールズ州の山間のカーディガンシャー地方で家畜犬として飼われていましたが、この地方に住む人々が、有能なこの犬を外部に知られることを喜ばなかったため、長い間一般には知られることはありませんでした。1933年、ジョージ6世が宮廷で飼育したのがきっかけで、世間に広く知られるようになりました。
この当時はまだ、ペンブロークとの交配が普通に行われており、相違点も多いことから、同じ犬種と考えられていました。しかし、毛色や尻尾、耳の形の違いなど、同一の犬種標準で計ることが難しくなり、原産国であるイギリスのケネルクラブは、1943年、別々の種類のコーギーとして登録することになりました。以降、日本も含め海外の多くの国で、ペンブロークとカーディガンは別々のコーギーとされています。現在はおもに家庭犬として世界中で飼われています。

グレートデーン【Great Dane】

グレートデーン/ペット図鑑

原産国 ドイツ
体重 牡54㎏以上、牝45㎏以上
体高 牡80㎝以上、牝72㎝以上
グルーブ 2G

特徴

体型はスクエアでバランスがよく、後躯に比べ前躯が著しく高い前高肢勢で、力強さと優美な品格を備えています。明確なストップ(両目の間のくぼみ)があり、咬合はシザーズバイト(上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接する)です。被毛は極めて短いシングルコートで、滑らかで光沢があります。アイリッシュ・ウルフハウンドに次いで最も体高がある犬種で、体高111.8cmのグレート・デーンが世界で最も背の高い犬としてギネスブックに掲載されていたこともありました。

性格

穏やかで従順な性格なので、自分より小型の犬とも仲よくでき、しつけもしやすい犬種です。寂しがり屋な一面があるので飼主から離れたがらない子もいるようです。

毛色

毛色は、ブラック、フォーン、ブリンドル、ハールクイン、ブルーの5種類があります。

育て方

大型犬なのでまず十分な飼育スペースを用意する必要があります。また、食費や医療費、介護費など飼育費用を十分に準備できることも条件となります。
室内での運動だけでは運動不足になってしまうので毎日1時間以上、散歩や運動が必要です。
穏やかで飼い主への忠誠心が高いのでしつけはしやすいと言われていますが、力が大変強いので、他の人や動物へ飛びついたりしないよう、子犬の頃からしつけや訓練は十分に行うようにしましょう。飼い主は制御できる体力としつけるための知識も必要です。
被毛は極めて短いシングルコートなので毎日のお手入れは比較的簡単です。固く絞ったタオルで全身を拭いた後、マッサージをするようにブラッシングをするとよいでしょう。

気をつけたい病気

大型犬は胃捻転や胃拡張が起きやすいと言われていますが、グレートデーンはとりわけ発症率が高いとされています。ドカ食いや一気食い、食後の運動は発症の引き金になることがあるので、食後は休ませて様子に注意するようにしてください。
他に、拡張性心筋症、ウォブラー症候群、股関節形成不全も起きやすいとされています。

歴史

非常に歴史の古い犬種で、チベタン・マスティフの子孫だと言われています。中世の頃は猪狩りに用いられてボワ・ハウンドとも呼ばれていましたが、過去400年の間にはグレーハウンドの血を加えられて、猪狩りだけでなく闘犬としても用いられ、護身用の大型番犬として発達してきました。その後ドイツ国内の貴族たちの寵愛を受け、上流階級のステイタスシンボルとなりました。神話に登場する最上級の神である太陽神アポロンになぞらえて、「犬の中のアポロ」と呼ばれていたほどです。
ドイツではドイッチェン・ドッゲ(ドイツの犬)と呼ばれ国犬に指定されています。グレートデーンという名は、フランスでの呼び方グラン・ダノワ(デンマークの大犬)の英訳で、今では世界各国で用いられるようになっています。
日本に入ってきた洋犬としては意外と早く、明治の頃に輸入されて、土佐犬などの改良に使われたと伝えられています。

イングリッシュコッカースパニエル【English Cocker Spaniel】

イングリッシュコッカースパニエル/ペット図鑑

原産国 イギリス
体重 12.5kg~14.5kg
体高 牡39㎝~41cm、牝38㎝~39cm
グルーブ 8G

特徴

がっしりとした骨太の体格で、猟犬らしく実猟性に富んだ体型をしており、スピードと持久力に富んでいます。理知的な表情を持ち優雅なたたずまいをしています。被毛は絹のように滑らかな長毛で、体に張り付くように生えていて、素朴で美しい印象です。

性格

いつもしっぽを振っているような明るく陽気で優しい性格です。鳥猟犬として高い運動機能を備えているので遊ぶのが大好きですが、闘争的ではありません。飼い主には従順で家族にも愛情深く接しますが、感覚が鋭く繊細な面もあります。

毛色

毛色は、ブラック、タン、レッド、オレンジ、レモンなどがあり、カラー・バラエティーは豊富です。は、2色が混じったグラデーションのような独特の模様が入る「ローン」は、イングリッシュコッカースパニエルの特徴の1つです。

育て方

活発で非常に多くの運動が必要な犬種なので、少なくとも毎日1時間以上の散歩が必須です。他の犬と遊ぶことも好きなので、ドッグランなどに連れて行って思いきり運動をさせるのも良いでしょう。猟犬としての性質をあえて残されている犬種なため、猫やカラスを追いかけることがあるので、愛犬から目を離さないようしてください。
大人しくて賢く従順なので、しつけは入りやすい方です。
被毛はダブルコートで、特に換毛期にはよく抜けるので、できれば毎日ブラッシングをしてあげましょう。

気をつけたい病気

遺伝性疾患が非常に多い犬種です。特に白内障や緑内障、 チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)、進行性網膜萎縮症などの眼病が多く発症すると言われています。また、単色の個体には、レイジシンドロームとも呼ばれる先天性激怒症候群が起きやすい傾向があるとされています。先天性激怒症候群は、突然噛みつくなど攻撃的な行動を見せる病気で、原因は解明されていません。根本的な治療法もありませんが、投薬によって攻撃的な行動を抑えられることがあるため、急に愛犬が噛み付いたり物を壊すなどの攻撃性が見られたら、動物病院を受診してください。

歴史

祖先は、イングランド土着の犬種で、陸地での猟に使われていたランドスパニエルだといわれています。鳥獣犬として、ひそんでいる山鳥を飛び立たせ撃ち落とされた鳥を回収する仕事をしていました。当時、イングリッシュコッカースパニエルとランドスパニエルは同じ犬種として扱われていましたが、1892年、小型サイズの個体はイングリッシュコッカースパニエルとして区別され、一つの犬種として確立されました。
その後、アメリカに渡り、猟犬らしさをそぎ落として愛玩犬として求められる特徴をもつように改良を重ねられましたが、これにイギリスの愛好家たちが異を唱えました。結局、アメリカで改良された個体はアメリカンコッカ―スパニエルとして区分されることになりました。現在でもアメリカ以外の国では、コッカースパニエルと言えばイングリッシュコッカースパニエルを指します。
日本においては、イングリッシュコッカ―スパニエルは「インギ―」、アメリカンコッカ―スパニエルは「アメコカ」と呼ばれています。

アメリカンコッカースパニエル【American Cocker Spaniel】

アメリカンコッカースパニエル/ペット図鑑

原産国 アメリカ
体重 11kg~13kg
体高 36cm~38cm
グルーブ 8G

特徴

鳥獣犬の中では最も小さい犬種で、頭部と胴体のバランスがよくとれています。がっちりとした筋肉質な体型で、丸い頭に長く厚い耳が垂れているのが特徴的です。
絹糸のような美しい被毛は、ダブルコートで毛量が多く、耳、胸、下腹、四肢には飾り毛があります。

性格

陽気で人懐っこい性格です。初対面の人にもすぐに懐いてしまうほど明るく社交的なので、アメリカではメリー・コッカー(陽気なコッカー)と呼ばれることもあります。興奮し過ぎることは少なく、賢いので飼い主の言うことを理解することが出来ます。

毛色

毛色は、黒やレッド(明るい茶色)、チョコレート色、クリーム(黄褐色)などがあります。タン・ポイント(違う色の斑)、パティーカラー(2色以上の毛色)や、トライカラー(黒×白×茶色の3色の毛色)の犬もいます。

育て方

食いしん坊で太りやすい犬種なので、肥満予防のために毎日1時間程度の散歩を行ってください。運動が大好きなのでドッグスポーツなどを取りいれても良いでしょう。
人なつっこい性格なので家族と多くの時間を過ごせると喜びます。逆に留守番の時間が長いと問題行動を起こすようになることがあります。
ダブルコートで毛量も多いので、美しい毛並みを保つためには毎日のブラッシングや定期的なトリミングは欠かせません。カットスタイルは足先に向かって毛のボリュームを広げるスタンダードスタイルが人気です。

気をつけたい病気

長い毛が目に入りやすく、目の周りの皮膚もたるんでいるため、結膜炎、チェリーアイ、緑内障、白内障など眼の病気にかかりやすいと言われています。
耳と皮膚のトラブルが多く、脂漏性皮膚炎、外耳炎などにもかかりやすいと言われています。毎日のお手入れを丁寧に行うことが予防になります。

歴史

1620年、イギリスからメイフラワー号でアメリカへ最初の移民がやってきた時に連れてこられた2頭の犬のうちの1頭がコッカースパニエルだったと言われています。その後も移民のたびにコッカースパニエルがアメリカへ連れてこられましたが、その中に猟用とはタイプの違う愛玩用の犬が含まれていて、この犬がアメリカンコッカースパニエル誕生の元となりました。愛玩犬として改良が続けられた結果、イングリッシュコッカースパニエルとは異なる顔立ちや被毛の美しさが際立つようになり、18世紀後半以降はドッグショーで大活躍しました。1945年になってアメリカン・ケンネル・クラブは、イングリッシュコッカースパニエルとアメリカンコッカースパニエルは別犬種であると決定しました。
その後、ディズニー映画「わんわん物語」の主役、レディのモデルとなったことがきっかけで世界中に知られるようになり、幅広い世代に愛されています。

グレートピレニーズ【Great Pyrenees】

グレートピレニーズ/ペット図鑑

原産国 フランス
体重 50kg~60kg
体高 65cm~81cm
グルーブ 2G

特徴

巨体で骨格が強く力強い体ですが、しなやかな柔軟性もあります。重量の割に軽快なフットワークで優雅な気品を備えています。垂れ耳、垂れ尾で、ダブルコートの豊かな毛に覆われています。

性格

温厚な性格で、家族には愛情深く従順です。しかし、自分のテリトリーを守る意識が強いので、見知らぬ人には警戒心を抱き、唸ったり吠えたりすることがあります。利口ですが頑固な面もあるので、しつけには時間がかかります。

毛色

真っ白な毛色が印象的ですが、白い毛色にグレー(アナグマの毛色)や、薄いイエロー、ウルフカラー、オレンジの斑が、頭部、耳、尾の付け根にあるものもあります。体にいくつかの斑が見られることもあります。

育て方

超大型犬なので、生活環境として広々とした庭や遊びスペースは必須条件です。
頑丈でエネルギーがあり遊び好きでもあるため、毎日十分な運動が必要です。朝晩で2回、1回1時間以上のお散歩をさせてあげましょう。
暑さに弱い犬種なので、夏場の散歩は朝晩の涼しい時間に行い、室温も常に適温に保つようにしてください。
自分の判断で行動できる犬なので、飼い主がしっかりとリーダーシップを持たなければ指示に従わなくなることがあります。子犬の頃から、きちんとしたしつけや訓練を行いながら信頼関係を作っていく必要があります。頑固な性格なのでしつけには時間がかかりますが、根気強く教えればきちんと覚えてくれます。

ダブルコートで体も大きいので普段から下毛は相当抜けます。できれば毎日ブラッシングで抜け毛を取り去ってあげてください。夏場は熱中症対策のためにもトリミングを行うと良いでしょう。後ろ足の足首あたりには、狼爪と呼ばれる黒っぽいツメがあり、伸ばしておくと引っかかりやすく、食い込んで歩行の負担となることもあるため、月に1?2回程度カットする必要があります。

気をつけたい病気

比較的丈夫な犬種ですが、命にかかわる病気を発症しやすいという面もあります。日頃から状態をよく観察し、定期的に健康診断を受けると良いでしょう。
股関節形成不全は成長期によく見られます。遺伝が一つの原因となっているので、親犬が股関節形成不全になっていないかを事前に確認しておくことが大切です。
胃拡張・胃捻転症候群は、緊急性が高く死に至るおそれがあるため、腹部が膨れる、嘔吐する、ゲップが頻繁にでる、呼吸が荒くなるなどの症状が見られたら早めに獣医師に診てもらいましょう。
骨肉腫は、骨にできる悪性の腫瘍で、大型犬がなりやすいと言われています。転移が速いので早期発見が非常に重要です。

歴史

非常に歴史の古い犬種で、祖先犬は中央アジアの超大型犬チベタン・マスティフと言われています。チベタン・マスティフは地中海を経てスペインからフランスへ移る途中で土着犬と交雑し、紀元前100年頃にはこの犬種が誕生したと考えられています。そしてフランスとスペインを隔てるピレネー山脈で、牧羊犬や番犬として飼われてきました。17世紀に入り、その大きな巨体と警戒心の強さで、家畜を狙う熊や狼を追い払う活躍ぶりが評判となり、護衛犬としてフランスの宮廷に迎えられます。国王ルイ14世やマリー・アントワネットが気に入り、フランスの王室犬にもなりました。犬好きで知られるイギリスのビクトリア女王も、1850年頃にピレニーズを所有したといわれています。
その後、狼や熊などの野生動物が減り、上流階級でも犬による護衛が行われなくなると、一時は絶滅寸前までに個体数が減少してしまいます。しかし、絶滅の危機を恐れた愛犬家達によって、わずかにピレニー山脈に残っていたグレートピレニーズを基礎として懸命な繁殖が行われました。1885年最初にイギリスで公認の犬種として登録され、その後世界各国に広まり、ジャパンケネルクラブには1961年に登録されています。現在は牧羊犬や番犬だけでなく家庭犬としても各国で愛育されています。

ペルシャ【Persian】

ペルシャ/ペット図鑑

原産国 イギリス
公認団体 CFA ・ TICA ・ FIFe ・ GCCF
毛種 長毛種

特徴

長くて艶やかな被毛が印象的で、気品にあふれています。顔の形はまん丸で、短くつぶれた鼻に、大きな丸い瞳は離れていて表情を可愛らしくみせています。体格は短胴で骨太、足は短めです。古くから高い人気を誇り「猫の王様」とも呼ばれます。

性格

温厚で従順な性格なので、しつけはしやすい猫ですが、自由気ままにくつろぐことを好むので、構われすぎるのを嫌がる傾向があります。足が短いこともあり、高い所に上がったり活発に体を動かすことがあまり得意ではありません。興奮したり大きな声で鳴いたるすることが少ないので集合住宅でも心配ありません。ひとりで過ごすのも苦にならない性格なので、頻繁に構ってあげられない人でも安心して飼うことができます。

毛色

毛色は多種多様で、全ての色が認められています。その色の豊富さから、ソリッド、シルバー&ゴールデン(チンチラ)、スモーク&シェーデッド、パーティーカラー、タビー、キャリコ&バイカラー、ヒマラヤンの7グループに分けられています。瞳の色も毛色によって変わります。
チンチラとヒマラヤンは特に人気があり、一つの品種のように扱われていますが、多くの猫協会では、ペルシャの毛色のバリエーションの一つという位置付けになっています。

育て方

長毛種の中でも特に被毛が厚くびっしりと生えているので、放置すると毛玉だらけになり皮膚炎や毛球症をおこしたりすることがあります。できるだけ毎日ブラッシングまたはコーミングをしてあげましょう。
運動量が少ないため、太りやすい傾向にあります。特徴である美しい毛並みを保つためにもバランスのよい食事は欠かせません。体質や特性に合ったフードを選びましょう。
運動を好む猫ではありませんがストレス解消や肥満防止のために毎日の遊びは大切です。猫じゃらしのようなおもちゃを使って、毎日短時間ずつでも遊びの時間を作ってあげると良いでしょう。
厚い被毛に覆われているため、夏の暑さに弱い猫種です。熱中症対策のため、夏場はクーラーを付けるなどして温度管理を行ってください。

気をつけたい病気

遺伝性疾患が多い猫種です。特に多発性のう胞腎は治療法のない病気で、両親のいずれかが発症していれば50%の確率で遺伝的に受け継がれていると言われています。
また肥大型心筋症にかかりやすいと言われています。この病気にかかると最悪の場合呼吸困難に陥る場合もありますが、定期的な検診で予防することが出来ます。
尿石ができやすい傾向があり、尿路閉鎖になると命にかかわりますので、ふだんからよくお水を飲むように工夫し、おしっこの量や色には日頃からよく注意してあげましょう。
他に流涙症などの眼病や、短頭種気道症候群などもかかりやすいと言われています。

歴史

猫の中で最も古い歴史を持つ猫種の一つとされています。起源については、トルコのターキッシュアンゴラから始まったという説や、現在の西ヨーロッパを起源とする説などがありますが、はっきりしたことはわかっていません。18世紀頃にはヨーロッパの貴族階級のペットとして愛好されていました。その後イギリスで開催されたキャットショーへの出陳や、19世紀アメリカへの輸出を経て、世界中に広まり人気の猫種となりました。
20世紀に入ると、より鼻が短くなることを目的にした選択交配がなされました。 伝統的な容貌のトラディショナルタイプに対して、極端に鼻ぺちゃなエクストリームタイプと呼ばれるペルシャが生み出されました。
後発の猫種を作り出す基礎になっており、ヒマラヤンやエキゾチックショートヘアは、ペルシャとほかの猫との掛け合わせにより生まれました。

コラット【Korat】

コラット/ペット図鑑

原産国 タイ
公認団体 CFA ・ TICA ・ FIFe ・ GCCF
毛種 短毛種

特徴

体型は筋肉質でがっちりとしたセミコビータイプです。コラット独特のハート型をした頭部と美しいグリーンの大きな目とブルーの被毛が特徴的です。被毛はアンダーコートがなく、体に密着したシングルコートで、完成するまでに平均して4年程かかります。

性格

大人しく静かな猫で、飼い主に対する忠誠心が高く甘えるのが大好きです。とても優しく我慢強い猫なので子供の相手をするのもうまく、他の猫やペットとも平和的に過ごせます。ただ、プライドが高く常に上位にたっていようする傾向があるので相性は大切です。束縛心が強いところがあるので、飼い主が構ってあげないといじけてしまうようなこともあります。よく鳴く猫なので集合住宅の場合は注意が必要です。

毛色

ブルーのみが認められています。1本1本の毛はシルバーのティッピングが入っており、光の加減によってキラキラと輝いて見えます。
ブルー以外にライラック色やポイントの入った毛色が生まれることがあり、ライラック色のコラットを「タイ・ライラック」、ポイントカラーのコラットを「タイ・ポインテド」として独立させようとする動きもあります。

育て方

短毛のシングルコートなのでお手入れは難しくありません。ブラッシングは1週間で1回を目安に定期的に行ってください。
若猫時代まではとても活発で、精神的に落ち着いてくるのに4年程かかると言われています。それまでは多くの運動と遊びが必要なので、十分に運動できるスペースやキャットタワーなどを用意し、1日1時間は一緒に遊んであげると良いでしょう。
食欲旺盛なので肥満にならないよう食事管理が大切です。

気をつけたい病気

比較的頑健な猫ですが、膀胱炎や尿結石、高齢になると腎不全などには注意が必要です。GM1またはGM2と呼ばれる神経と筋肉が侵される遺伝子疾患を発現してしまうケースがあります。発症すると1歳3ヶ月までに死亡してしまう恐ろしい病気です。血統の中にこの病気を持つコラットがいないか、ブリーダーへ確認することが必要です。
プライドが高く精神的に弱い面があるのでストレス性の脱毛を起こすことがあります。スキンシップを心がけたり、長時間の留守番をさけるなど寂しい思いをしないよう気を付けてあげてください。

歴史

タイ王国の北東部にあるコラット地方で自然発生した猫種です。アユタヤ王朝の時代(西暦1350~1767年)に書かれた文献「cat book poems」などにも登場し、幸福と繁栄をもたらす猫として大切にされてきました。現代のタイでも、縁起の良い猫として結婚のお祝いに贈られるなど贈呈用として扱われ、売買が禁止されていた時期もあったほどでした。
1800年代の後半にイギリスのキャットショーに登場しましたが、その時はシャムのカラーバラエティとして紹介されました。1959年にアメリカ人のジーン・ジョンソンが自国に持ち帰って繁殖を開始し、1966年にCFAに公認されました。イギリスでは1975年にGCCFに公認されています。
同じ銀灰色の毛色を持つシャルトリュー、ロシアンブルーと並び、ブルー御三家と称されています。

ロットワイラー【Rottweiler】

ロットワイラー/ペット図鑑

原産国 ドイツ
体重 牡50㎏、牝42㎏
体高 牡61cm~68cm、牝58cm~63cm
グルーブ 2G

特徴

がっしりとした骨格と逞しい筋肉を持ち、体つきは精悍です。マズルは太く、顎の力は強靭で120㎏もあると言われています。しっぽは飾り毛の少ない先細りの垂れ尾ですが、断尾され短くなっています。しかし近年は動物愛護の観点から生まれたままのしっぽを残すことが増えてきています。光沢のある被毛は短毛のダブルコートで、まっすぐな硬い毛が密生しています。

性格

利口で従順です。家族に対しては愛情に富んでいますが、見知らぬ人に対しては慎重な態度をみせます。大胆で勇気があり、警戒心も備わっているので、番犬として理想的です。力の強い大型犬なので、人間社会で暮らすために必要なルールをしっかりと覚えさせることが大切です。

毛色

毛色はブラックで、輪郭のはっきりとした黄褐色のタンのマーキングが、両目の上、頬、マズル、胸、四肢、尾の付け根などに見られます。

育て方

ドイツでは危険犬種のリストに入っていますが、本来は攻撃性のある犬種ではありません。ただし、防衛心が強いため家族を守ろうとするあまり攻撃的になることがあります。このようなことが起こらないようにするためには、この犬種に対する深い専門知識を持つことと、躾の徹底が必須です。子犬の頃から多くの犬や人と触れ合うことにより社会性を育てながら、待て・止まれ、噛み癖などのしつけをしっかり行ってください。
体力があるので毎日運動を行う必要があります。少なくとも毎日1~2時間以上の散歩を行いましょう。力が強く大人の男性でも引きずられてしまうことがあるので、リーダーウォーク(飼い主の前を歩かない)を子犬の時からしっかりと覚えさせてください。
抜け毛は少ないので被毛の手入れは楽な方です。定期的にブラッシングを行ってください。

気をつけたい病気

骨肉腫は、発症の原因がわかっていないため予防は難しいとされています。発症すると足に硬いコブのようなものができて腫れあがり、痛みのために足を引きずって歩いたり、かばうようにします。軽症の場合は手術できますが、重篤になると足を切除しなければなりません。
股関節形成不全は、大型犬が発症しやすい病気です。発症した場合には、痛みのために腰を振って歩くようになります。原因は遺伝や肥満、過度な運動などといわれているので、適切な食事と運動を心がけてください。
前十字靭帯断裂は、発症すると足を引きずって歩くようになります。原因は肥満や過度な運動といわれているため、食事と体重の管理と運動をさせ過ぎないことが大切です
胃拡張胃捻転症候群は、早期治療が大切です。食後に激しい運動をしたり、早食いをしたりすることが原因で起こるので、予防のために食事は少量ずつ与え、食後にしっかりと時間を取ってから運動させるようにしてください。

歴史

最も古い犬種の1つとして考えられていて、祖先犬はローマ帝国が中央ヨーロッパに侵攻する時に兵士の食料となる牛の群れを統率していたチベタン・マスティフだと言われています。やがてドイツのロットワイルという町に定着して、牧羊犬、牧畜犬として改良され、その能力を高めていきました。
20世紀に入ってから犬に家畜をリードさせたり荷物を引かせたりすることが禁じられたため、一時絶滅の危機に陥りましたが、優れた体力と勇敢さ、忠誠心を評価されて再興されました。その後、警察犬、軍用犬、山岳救助犬として世界中で大活躍しました。現在でもアメリカやヨーロッパでは多くの人達に愛されている人気犬種です。
日本ではあまり見かけない希少犬種ですが、特殊使役を担う優れた犬として様々な場面で活躍をしています。
犬名は、長い間育種されてきたドイツのロットワイルという町の名にちなんでいます。

ラフコリー【Rough Collie】

ラフコリー/ペット図鑑

原産国 イギリス(スコットランド)
体重 56cm~61cm
体高 22㎏~30kg
グルーブ 1G

特徴

気品の高い優雅な容姿を持ち、均整の良くとれたスマートな体型をしています。細長いマズルに先の折れ曲がった立ち耳、ふさふさした垂れ尾、手足の豪華な飾り毛が特徴的です。豊かで光沢のあるまっすぐな被毛はダブルコートで、歩くたびにふわふわと揺れる姿はとても上品です。

性格

明るく穏やかな性格で誰にでもやさしく接します。飼い主には忠実で非常に賢いため、しつけにも苦労しません。感受性が強く周囲の状況に敏感な面があるので、飼い主の気持ちを汲みとってくれますが、怒られたりするとストレスを感じやすいようです。

毛色

毛色はセーブル&ホワイト、トライカラー、ブルーマールの3色が公認されていますが、全体がホワイトで頭部や体の一部にだけ上記3色の毛色がある個体も存在します。

育て方

牧羊犬として活躍していた犬種なので沢山の運動が必要です。毎日1時間程度の散歩のほかに、時々ドッグランで思い切り運動させてあげると良いでしょう。力が強い犬なので、コントロールやトレーニングが必要になります。飼い主にある程度飼育経験があることが望ましいでしょう。
非常に賢く、人と接するのが大好きなので、コミュニケーションを密にとって信頼関係を築いていくと良いでしょう。ストレスを感じることも少なくなります。
長毛のダブルコートで抜け毛は多いので、毎日ブラッシングをしてあげると良いでしょう。

気をつけたい病気

コリーアイ症候群は、この犬種独特の遺伝性の眼疾患で、失明することもある病気です。遺伝性の疾患は、未然に防ぐことは難しいですが、病気についての知識を持ち、早期発見・早期治療に努めることが大切です。
ほかに進行性網膜萎縮症、股関節形成不全、胃がんなどにもかかりやすいと言われています。

歴史

起源については、よくわかっていませんが、過去数百年に渡ってスコットランドのハイランド地方の山岳丘陵地帯で牧羊犬として活躍していたと言われています。アングロサクソン語で「黒」を意味するコリーと呼ばれ、牧羊犬も黒い毛色が多かったためコリー・ドッグと呼ばれるようになり、その後そこから犬種名が生まれました。19世紀には、毛の長いラフコリーと、短いスムースコリーがいたことが知られています。ラフコリーとスムースコリーは、交配が重ねられてよく似た容姿を持つようになり、同じ犬種と考えられていましたが、近年は、もともと全く別の犬種だったと考えられています。
1860年頃、ビクトリア女王がスコットランドで見かけたコリーたちを気に入り、スムースコリーを連れ帰りました。イギリスでは女王が愛好する犬ということからスムースコリーに注目が集まると同時に、ラフコリーも広く知られるようになり、スムースコリーより穏やかで落ち着いていることから、牧羊犬としてではなく上流階級のペットとして愛されるようになりました。
その後アメリカに渡り、余裕があるアメリカ人たちの住宅事情にもマッチしたことから、上流階級などの富裕層に飼われるようになります。20世紀には映画やテレビドラマの「名犬ラッシー」が世界的に大ヒット、ラフコリーのラッシーは賢く優しい犬として人気が急上昇し、一般家庭でも飼える犬として広く飼育されるようになり、日本にも広まっていきました。現在でも世界的に常に人気のある犬種で、安定した人気を保っています。