グレートピレニーズ【Great Pyrenees】
原産国 | フランス |
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体重 | 50kg~60kg |
体高 | 65cm~81cm |
グルーブ | 2G |
特徴
巨体で骨格が強く力強い体ですが、しなやかな柔軟性もあります。重量の割に軽快なフットワークで優雅な気品を備えています。垂れ耳、垂れ尾で、ダブルコートの豊かな毛に覆われています。
性格
温厚な性格で、家族には愛情深く従順です。しかし、自分のテリトリーを守る意識が強いので、見知らぬ人には警戒心を抱き、唸ったり吠えたりすることがあります。利口ですが頑固な面もあるので、しつけには時間がかかります。
毛色
真っ白な毛色が印象的ですが、白い毛色にグレー(アナグマの毛色)や、薄いイエロー、ウルフカラー、オレンジの斑が、頭部、耳、尾の付け根にあるものもあります。体にいくつかの斑が見られることもあります。
育て方
超大型犬なので、生活環境として広々とした庭や遊びスペースは必須条件です。
頑丈でエネルギーがあり遊び好きでもあるため、毎日十分な運動が必要です。朝晩で2回、1回1時間以上のお散歩をさせてあげましょう。
暑さに弱い犬種なので、夏場の散歩は朝晩の涼しい時間に行い、室温も常に適温に保つようにしてください。
自分の判断で行動できる犬なので、飼い主がしっかりとリーダーシップを持たなければ指示に従わなくなることがあります。子犬の頃から、きちんとしたしつけや訓練を行いながら信頼関係を作っていく必要があります。頑固な性格なのでしつけには時間がかかりますが、根気強く教えればきちんと覚えてくれます。
ダブルコートで体も大きいので普段から下毛は相当抜けます。できれば毎日ブラッシングで抜け毛を取り去ってあげてください。夏場は熱中症対策のためにもトリミングを行うと良いでしょう。後ろ足の足首あたりには、狼爪と呼ばれる黒っぽいツメがあり、伸ばしておくと引っかかりやすく、食い込んで歩行の負担となることもあるため、月に1?2回程度カットする必要があります。
気をつけたい病気
比較的丈夫な犬種ですが、命にかかわる病気を発症しやすいという面もあります。日頃から状態をよく観察し、定期的に健康診断を受けると良いでしょう。
股関節形成不全は成長期によく見られます。遺伝が一つの原因となっているので、親犬が股関節形成不全になっていないかを事前に確認しておくことが大切です。
胃拡張・胃捻転症候群は、緊急性が高く死に至るおそれがあるため、腹部が膨れる、嘔吐する、ゲップが頻繁にでる、呼吸が荒くなるなどの症状が見られたら早めに獣医師に診てもらいましょう。
骨肉腫は、骨にできる悪性の腫瘍で、大型犬がなりやすいと言われています。転移が速いので早期発見が非常に重要です。
歴史
非常に歴史の古い犬種で、祖先犬は中央アジアの超大型犬チベタン・マスティフと言われています。チベタン・マスティフは地中海を経てスペインからフランスへ移る途中で土着犬と交雑し、紀元前100年頃にはこの犬種が誕生したと考えられています。そしてフランスとスペインを隔てるピレネー山脈で、牧羊犬や番犬として飼われてきました。17世紀に入り、その大きな巨体と警戒心の強さで、家畜を狙う熊や狼を追い払う活躍ぶりが評判となり、護衛犬としてフランスの宮廷に迎えられます。国王ルイ14世やマリー・アントワネットが気に入り、フランスの王室犬にもなりました。犬好きで知られるイギリスのビクトリア女王も、1850年頃にピレニーズを所有したといわれています。
その後、狼や熊などの野生動物が減り、上流階級でも犬による護衛が行われなくなると、一時は絶滅寸前までに個体数が減少してしまいます。しかし、絶滅の危機を恐れた愛犬家達によって、わずかにピレニー山脈に残っていたグレートピレニーズを基礎として懸命な繁殖が行われました。1885年最初にイギリスで公認の犬種として登録され、その後世界各国に広まり、ジャパンケネルクラブには1961年に登録されています。現在は牧羊犬や番犬だけでなく家庭犬としても各国で愛育されています。